英語の長文読解が苦手な人は多いです。
例えば
- 一文一文なら読めるけど、大量の英文になるとスラスラとはいかない
- 読み終えないまま時間切れとなる
- 英文を読んでいるうちに、途中で内容がわからなくなる
- 長文問題の設問に答えるのが苦手
など。
確かにあのアルファベットの羅列、見ただけでもゾッとする、という人もいるでしょう。
でもご安心ください。
適切な勉強法を通じて読み方・解き方のコツをつかめれば、大量の英文を速く正確に読んでいくことは十分可能です。
この記事では、それを実感していただけるように、英語の長文読解の勉強法を徹底解説していきます。
長文読解だからこそ精読が大切!
英語の長文読解の練習と聞くと、多読の練習が真っ先に頭に浮かぶ人も多いと思います。
これについて全面否定するつもりはないのですが、単純に多読をすることが長文読解の勉強をすることではありません。
確かに今日の入試傾向としては、(昔に比べ)比較的易しめの英文を大量に読ませる問題が主流になってきています。
ですが、日本語を母国語とする私たちとしては、ネイティブの感覚で英文に接しようとしても限界があります。
それは本格的な私大の長文問題や国立2次の英文を見てもらえば一目瞭然です。
ですの、まずは英文解釈をベースとした精読を通じて読解の質を担保していただきたいと思います。
つまり、精読(読解の質の担保)の延長に多読練習があるというイメージです。
長文英語を速読するコツ
スラッシュリーディングのススメ
スラッシュリーディングとは、適当に区切りながら、英語の語順のまま英文を読み進めていく技術です。
読みやすいところで、長く複雑な英文を区切っていきます。
また、それに合わせて日本語訳も区切ります。
区切りを入れる箇所は次のようなところです。
- 動詞の後(ただし主語が長い場合は動詞の前にも入れる)
- 接続詞の前
- 前置詞の前
- 不定詞や現在分詞・過去分詞の前
上記以外でも、修飾句(節)が長いときは、その前に区切りを入れていきます。
例えば、次ような感じです。
I was told/ by my father/ that I would not be allowed/ to live/ in New York.
(私は言われた/私の父に/わたしは許されないと/住むことを/ニューヨークに)
このように適度に英文を区切った状態で(内容をイメージしながら)ゆっくり音読していきます。
特に初めのうちは、区切りごとに即座に日本語を思い浮かべてみます。
イメージできるようになったら、次にこのイメージだけ持ってシャドーイングに移ります。
シャドーイングでは音声は途中で切れませんので、日本語を介する余裕はありません。
音読・シャドーイングをする
シャドーイングでは、CD等の音声を使って自分でも音読をしていきます。
ただし、同時に読むのではなく、耳に音声が入った後、少しタイミングをズラして同じ英語を音読していきます。
影が後をついていくような感じです。
この際、重要なのは日本語を介さないで、イメージだけで英語のリズムを体感していくことです。
音とイメージです。
こうすることで逐一日本語に訳すことなく、大量の長文を速読できるようになっていきます。
ネイティブの読み方に近づくための実践的な訓練です。
長文英語を正確に読むコツ
1パラグラフ1テーマの原則
一つのパラグラフ(段落)には1つのテーマ(その段落で言いたいこと)が書いてあります。
また、同じパラグラフには、そのテーマに関連する根拠や具体例(事例等)が書かれていたりします。
例えば、
パラグラフのテーマ(結論)→根拠や具体例(→再度結論)
といった具合に流れていきます。
パラグラフの基本的なセットです。
特に、長文英語の中でも比較的長いもの(例えば1000語近くあるものなど)は、その大半が具体例だったりします。
そのため、たとえテーマが抽象的だったとしても、具体例を見れば簡単にイメージできたりするのです。
ですので長い英文だからといって怯む必要はありません。
結論が先である
英語の文章は通常、結論が先に書いてあります。
必要に応じて最後に再度結論を書いて締めくくることもあります。
例えば、最初に筆者の主張やテーマの結論が書かれるのが一般的です。
上で述べたパラグラフにおいても、そのパラグラフのテーマは最初の1文目や2文目に書かれているのが通常です(最後に結論として書かれることもある)。
ですので、文章やパラグラフの最初と最後に特に注意します。
タイトルと合わせてチェックすると読解の見通しがはっきりしてくるでしょう。
また、もし抽象的で分かりづらいときでも、具体例がその後に書かれていることが多いので、
完全に理解できなくても諦めずに読み進めることが大切です。
ディスコースマーカーに着目
英文を正確に読むには論旨の流れを把握していく必要があります。
そのための目印となるのが、ディスコースマーカーです。
以下では、主なディスコースマーカーを挙げておきます。
英文を読む際にこれらに印をつけるなりしておくとよいでしょう。
- 要約・言い換え:Briefly, In other words
- 逆説・対立:However, Yet, But, Although, On the contrary
- 具体例:For example
- 追加:In addition, Furthermore
- 結論・結果:As a result, Therefore, Thus
これらのディスコースマーカーに着目することで、対立の焦点や結論の過程が明確になり、文の流れがつかみやすくなります。
例えば、「要約・言い換え」ですと、同じ内容を意味する単語や表現が続きますし、
「具体例」だと、一般的・抽象的な事柄が具体的に例示されることを意味します(英語では必ずといってよいほど “For example” として抽象→具体、と続きます)。
追加ですと、情報が新たに加わります。
「結果」を表す表現では、因果関係があることを示しています。
逆に言えば、その「結果」の原因や理由が示してあるということです。
例えば、設問では、理由が問われたりするのですが、これに対する解答のヒントが得られます。
さらに「逆説・対立」では、その言葉の後に、筆者の主張や強調したいことが続くことがあります。
対立する他の意見等に譲歩しつつ、反論して自説を展開する論法などで使われます。
特に(英語、日本語を問わず)逆説用語は非常に重たい意味を持ちます。
「しかし」を意味する言葉が来たときは、その後の言葉に特に注意しましょう。
未知の英単語への対処法(推測法)
大学入試等の英文読解では、多かれ少なかれ未知の単語に出くわすことは避けられません。
出題者側もそれを承知であえて出題してきます。
試験中では辞書等は見れませんので、この未知の英単語を推測していくのですが、
ここでも先ほどのディスコースマーカーが役立ちます。
例えば、具体的には
- 同意語・言い換え
- 対立項・反対語
- 抽象語VS具体例
- 因果関係、原因と結果
- 接尾語・接頭語(~less, dis~など)に着目
を考えていきます。
これらの項目は(最後の項目を除き)ディスコースマーカーに相当するものです。
これらを目印に、一方の既知の単語や表現から他方の未知の単語を推測していくのです。
例えば、抽象的な単語や専門用語が判らなくても、その後に記述されている具体例から推測できたりします。
言い換えも同様です。
100%完全でなくても、こうした論理を手掛かりに未知の単語を推測し、全体の把握に努めていきます。
英語の長文問題の解き方
まずは制限時間内で辞書なしで(自力で)問題を解いてみる
普段の机上での学習と試験本番とでは、雰囲気、緊張の度合い等も含めて色々と違ってくるものです。
例えば普段の勉強ですと、どうしても時間に甘くなったり、辞書や参考書等を見てしまいがちです。
ですが、こうした勉強姿勢をいつまでも続けていると本番で”撃沈”なんてことも起こり得ます。
ですので、制限時間内にまずは本番さながらに自力で解いてみましょう。
その際は、先の”未知の単語の推測法”を活用していきます。
設問を最初に見ておく
何も情報がないまま外国語の文章を読んでいくのはとても不安なことです。
しかも設問を見ないで本文を読む場合、設問に当たった後、再び本文を追っていかなければなりません。
時間的にも非効率的です。
他方、設問には本文の内容に関するヒントがでていたりします(特に選択肢)。
また設問に対する答えを想定しながら読み進めることもできます。
設問を先に見ないのは勿体ないです。
設問に答える際には、本文において根拠を明確にする
時間制限もあると、何となく漠然と解答してしまいがちです。
ですが、英語の読解問題でも、現代文と同様、必ず解答の根拠は本文の中にあります。
この根拠を明確にしながら設問に臨んでいくのです。
ですので根拠となる本文の該当箇所に「ここだ!」としるしを付けておくことをお勧めします。
ここを解答解説と照らし合わせていくのです(読解の勉強の核心です)。
段落ごとのテーマや論旨の流れを把握していく
長文の場合、全体で何を言わんとしているのか、その要旨等が問われます(最初に設問をチェックのこと)。
ですので、1パラグラフ1テーマの原則やディスコースマーカー等を駆使して、論旨の流れを追っていきましょう。
特に、テーマや結論は最初の方(特に第1文や第2文)または最後に書かれていることが多いので、
ここは必ずチェックしておきます。
まとめ
長文読解の勉強に取り組むには、まず英単語、英文法、そして英文解釈の基礎力が必要です。
また、同時に、ディスコースマーカー等を手掛かりに論旨の流れを正確に把握していくことが不可欠です。
さらに、英語を速く大量に読むためには、スラッシュリーディングや音読も欠かせません。
特に今日の入試では、限られた時間の中で大量の英文を読ませ、その論旨を把握の上、様々な情報処理をさせようとします。
こうした傾向を踏まえると、これまで以上に読解力と速読力が重要になってきます。
今回の記事ではこうした点を中心に長文読解の勉強法を解説してきました。
参考にしていただけたら幸いです。