皆さんは英語の勉強をするうえで、次のような悩みを抱えていませんか。
- 英単語や英文法は勉強したが、リーディングでつまづいてしまう
- 共通テストの英文なら読めるのだけど、少し難しくなるとお手上げ
- 返り読みばかりで先頭から読めるようにならない
どれももっともと言えます。
ですが、心配ご無用!
結論としては、ズバリ、正しい英文解釈の勉強をしていけばよいのです。
この記事では、その正しい英文解釈の勉強法を徹底解説することで、こうした悩みを吹き飛ばしていきます。
英文解釈の勉強法
英文解釈の勉強には2つのアプローチがある
英文解釈の勉強法には、次の2つのアプローチがあります。
- 英文の構造を全体的に分析して把握する
- 英文を頭から読み進める
皆さんは、英文にカッコ書きが付されていたり、矢印が振られているのを見たことがあると思いますが、一番目のアプローチがそのパターンです。
多くの参考書がそうしたアプローチで解説しています。
パッと見ても一目瞭然で、とてもわかりやすいのですが、これだけでは結構厳しい!
実際自分で英文を読むときは、当然ながら頭から英文を読んでいきます。
いきなり英文の全体を観察したり、矢印に従って返り読みをしたりはしないのです(漢文とは異なります)。
そこでもう一つのアプローチの出番です。
先頭から読み進めるための思考訓練をしていきます。
以下では、この両者の観点から解説していきます。
英文構造の急所とは
英文の構造というと、多くの人が個々の構文(英語の公式のようなもの)を思い浮かべます。
強調構文とか倒置などですね。参考書でもこれらに多くの紙面を割いています。
ですが、先ずは英文解釈全般に共通する基本骨格が重要です。
その主な急所は次の3点。
- 主語・動詞を中心とする基本5文型:SVOCM
- 修飾語句・節:被修飾語を補足したり、限定したりする
- 接続関係:特にand, butなどの等位接続(並列関係)
上記3つの急所が捉えられると、英文がとてもシンプルになってきます。
どんな複雑な英文でも、結局これらがベースになってくるのです。
例えば、修飾語句や等位接続(並列関係)では、一連の語句や結ばれたものを、一つのカタマリとして捉えます。
英語は名詞関連の語句で大半ができているので、
このカタマリを見抜いて基本文型に落とし込むことができれば、英文解釈はほぼ成功と言ってよいでしょう。
🍀等位接続(and)は英文解釈の難所!:
andに代表される等位接続は、一見易しいようで、かなりのクセモノです。
しっかり意識していないと、英文全体が???となってしまいます。
そのため、難関校の入試はもちろん、ハイレベルの模試や参考書では必ずと言ってよいほど頻繁に取り上げられます。
そこで、このandの構造を見抜くポイントは次の通り。
等位接続andは、同じ文法的資格のもの同士を結び付けています。
その点を念頭に、andが何と何を結び付けているか、(そして結びつけられた)カタマリが英文の中でどんな役割を果たしているか、を考えるのです(目的語なのか、修飾句なのか、など)。
英文を頭から読み進めるコツ
ここからは、英文解釈のもう一つのアプローチにつながる話です。
結論的には、(読んでいて)出てきた語句について、少し突っ込んで疑問に思ったり、この後どんな語句や節がくるかを予想したりします。
もう少し具体的に言うと、
然るべき修飾句や節、あるいは(他動詞に対する)目的語などがでてこないか、と予想するのです。
例えばtransformation(変換)という名詞。
transformation(変換)とはある種の”変化”を意味しますが、何から何に変化するのだろうか、とか、何がどう変わるのだろうか、と考えていきます。
具体的には次のような感じです。
transformation realized as a result of this invention, from analog to digital
(この発明の結果実現した、アナログからデジタルへの変換)
transformationが目に入った段階で、「どのように変化するのだろうか」といった思考が少しでもあれば、そのまま読み進めていくことができます。
from以下の修飾句が(やや離れていますが)transformationを補足しているのが直ちにわかるでしょう。
抽象的で、単独ではよくわからない単語、例えば、fact(事実)やpossibility(可能性)なども同様です。
どんな事実や可能性なのだろうか?それを具体的に説明する修飾句・節が(すぐ目に入らなくても)後に必ずでてくるはずだ 、と考えます(that節で始まる同格構文などが続いたりしますね)。
動詞でも、これまた同じように予想をしていきます。
例えばshowという他動詞でしたら、「示す」対象である目的語が予想できますし、goなどの自動詞でも、行き先を示す語句(to~)がでてくるんじゃないか、と疑問を持つことができるでしょう。
こんな風にして(漠然と英文を読むのではなく)常に予想したり疑問を持ったりしながら能動的に取り組むのです。
本格的な英文解釈の勉強ってこんな感じ
難しくありませんので、ここで英文解釈というものを一緒にやってみましょう。
基本文型と修飾関係と等位接続の組み合わせです(日本語訳は解説の最後にあります)。
Many women demanded equality with men before the law in educational opportunities, and in civil rights.
demand:~を要求する equality:平等 before the law:法律上 educational opportunities:教育の機会 civil rights:公民権
先ずは英文の構造把握です。
主語は Many women(多くの女性たち)、動詞は demanded (~を要求した)、そして equality(平等)が目的語です(英文全体としてはSVOの第3文型です)。
内容的には、女性たちがequality(平等)を要求したのですが、ここでどんな「平等」を要求したのでしょうか。
このequalityという単語が目に入ったとき、意識すべきは、誰と何についての平等であるのか、という点です。
これらに関連する言葉が、このあと来るのではないか、と予想していくのです。
「男性と平等であること」を求めているのは直ぐにわかるのですが、「何について」の部分が少し離れています。
意識していないと、in educational~が、equalityを補足説明していることに気づけません。
さらにこの英文では、読んでいくとand~が続いています。
これが等位接続ですが、ここでのandは何と何を結びつけているのでしょうか。そして結びつけられたものは、英文の中でどんな役割を果たしているのでしょうか。
結論は、<in educational opportunities>と<in civil rights>を対等に結び付け、両者が共にequalityを修飾(補足説明)しています(何についての平等であるかを説明しているのです)。
ちょっとわかりづらいですが、カタマリとなる箇所をカッコ書きしてみます。
Many women demanded [equality with men (before the law) (<in educational opportunities>, and <in civil rights>)].
<日本語訳>多くの女性たちが、教育の機会と公民権について、法律上、男性と平等であることを要求した。
解説は以上ですが、いかがですか。
先に述べた、基本文型と修飾語句、それに等位接続の理解を問う基本的なパターンです。
一般的な国立大2次でも、このレベルの英文が読めれば十分でしょう。
英文解釈の勉強の具体的な進め方
STEP1:英文の構造を学ぶ
英文解釈初心者は、先ずは入門書を一冊に特化して、これにじっくり取り組みます(最低2周はすること)。
最初の目標(1周目)は、英文の構造とその把握の仕方の習得です。
ここで、最初から演習形式で(初見の)英文にトライしてもよいのですが、英文解釈の知識ゼロでは厳しいと思います。
英文によっては、全く構造がつかめなかったりするでしょう。
ですが心配いりません。
初めのうちは、英文解釈に関する知識自体が乏しいので、できないのは当然です。
こんな時は、無理して闇雲に和訳をする必要はありません。
英文解釈初学者においては、新たに習得した知識を、復習の時や演習等で生かせるようになることが大切です。
ですから、先ずはしっかり解説を読みながら英文の構造の理解に努めます。
そして、その上で音読していきましょう。
英文の構造を音声を通じて身につけていくのです(後述します)。
STEP2:和訳を通した問題点・改善点のチェック
自力で把握した英文は、一度は和訳してみます。
和訳は基本的に一度やれば十分ですが、全くわからなかった英文は2周目に再度和訳してみることをお勧めします。
ところで、間違った英文解釈の勉強として、先ず和訳して次にその和訳に基づき英文構造を把握しようとする人がいますが、逆です。
先ず自分なりに英文構造を把握した上で、これを和訳に反映させるのです。
そして、その自分の和訳と正解の訳を照らし合わせ、自分の構造把握の仕方に問題がないかをチェックしていきます。
ここで特に注意したいのが、英文把握が全くできておらず、あやふやな状態で日本語訳をつくっても和訳の意味はない、ということ。
修正する対象自体があいまいで、何がどういけないのか(自身の問題点)が明確にならないからです。
ですから、(完璧でなくてもよいので)自分は英文をこう把握したのだ!と明確にした上で和訳にこれを反映させましょう。
STEP3:仕上げは音読で
英文を完全に理解できるようになった段階で、今度は仕上げとして音読をします。
音読をすることで、英文を自分のものにできるだけでなく、音のリズムを通じて英語の語順や発想に慣れていくことができるからです。
この音読練習が長文読解の速読につながっていきます。
他方、英文解釈の参考書はCD等の音声教材がついているとは限りません。
また、英文の構文や構造を軽視したまま音読しても、ただの棒読みとなってしまい何も身につきません。
ですから、音声教材の有無にかかわらず、英文の構文や構造をしっかり意識しながらゆっくり音読していきます(10回を目安とします)。
まとめ
英文解釈の勉強法について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
その具体的な学習では、基本文型、修飾語句・節そして接続関係を基礎としながら、個々の構文について勉強します。
また、自分で英文を読む際には、こうした知識を総動員して英文の構造把握に努めるとともに、修飾句等を積極的に予想していきます。
さらに、これとは別に英語の発想や語順に慣れるためには音読も欠かせません(長文の速読につながります)。
結局、これらを積み重ねることで、究極的には、この英文解釈を意識することなく、頭から英文を読みこなしていけるようになるのです。
お疲れ様でした。