英単語を効率よく暗記するために多くの英単語帳が出回っています。
どれもよくできているのですが、疑問や悩みも少なくありません。例えば、
- 様々な英単語帳があり、どれを選んでよいかわからない
- 単語帳ってどんな使い方や目的があるの?
- レベルは自分に合っている?
など。
そこでこの記事では、数ある英単語帳の中でも特におすすめのものを厳選してみました。
また、併せて英単語帳についてのタイプやレベル、使い方等にも言及していきます。
- 間違いのない英単語帳の選び方
- 各単語帳のタイプやレベル、使い方など(参考書レビュー)
間違いのない英単語帳の選び方
英単語帳を選ぶ際のポイントを示しておきます。
- 単語帳を使う目的
- 単語帳のタイプ
- 単語帳のレベル
英単語帳の目的は何か
大学受験についていえば、英単語帳の目的としては
- 英単語をとにかくストック(暗記)していくこと
- 英単語を読解等で使えるようにしていくこと
- 派生語や多義語等を整理していくこと
などがあります。
例えば、英単語の絶対数が足りないと感じている人は、とにかくストックを着実に増やしていくことが大切です。
また、単語数のストックが増えてきたはいいが、いざとなると読めない、思い出せない等で悩むことも生じてきます。
この場合は、具体的な英文を通して使えるようにしていくことが目的となります。
さらには、これまでの自分がストックしてきた英単語を整理するとともに、多義語や派生語等の確認をすることもあるでしょう。
結局、こうした目的を明確にしたうえで参考書を選ぶことが大切です。
英単語帳のタイプ
英単語帳のタイプには次のようなものがあります。
- 単語が効率的に列挙されているもの
- 例文と共に並べられ、コロケーション(単語のつながり方)を学べるもの
- 本格的なリーディング対策につながるもの
- 派生語や類義語、多義語等が掲載されているもの
先ほどの、単語帳の目的(使い方)と連動してきます。
ただし、最近の単語帳は、例文とともに単語が列挙されていたり、派生語や類義語等も併せて細かく掲載されていたりします。
要するに複合的なつくりになっているのです。
したがって、学習者側の目的に応じた使い方が重要になってきます。
例えば、単語帳としては例文と共に複数の意味も出ているが、一語一義に絞って集中的に英単語をストックしていく、などといった具合です。
英単語帳のレベル
単語帳のレベルが自分に合っているかも単語帳選定のポイントです。
昨今の英単語帳には、初心者向けから上級者向けまでレベルも様々なものがあるからです。
例えば、初心者が、いきなり上級者向けの単語帳を使って全てを覚えようとしても、消化不良を起こしてしまいます。
最悪、結局何も身につかなかった、なんてことにもなりかねません。
したがって、ご自身の英語力、単語ストック量などを見極めながら参考書を選ぶことが大切になってきます。
おすすめの英単語帳~レベル・タイプ・使い方等~
おすすめ英単語帳一覧
参考書 | レベル | タイプ・使い方(目的) |
---|---|---|
英単語ターゲット1900 | 入門・初級 | 列挙型・ストック用 |
ユメタン | 入門・初級 | 列挙型・ストック用 |
鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁 | 上級 | 列挙型・確認整理用 |
システム英単語 | 中級以上 | 例文暗記・コロケーション学習 |
DUO 3.0 | 中級以上 | 例文暗記・コロケーション学習 |
速読英単語 必修編 | 中級以上 | 本格的なリーディング対策用 |
速読英単語2上級編 | 上級 | 本格的なリーディング対策用 |
話題別英単語リンガメタリカ | 上級 | 本格的なリーディング対策用 |
◆注意事項:
今日のほとんどの単語帳は、基本的に単語列挙+例文もしくは本格的な文章といった複合タイプです(つまり多目的用にできています)。
例えば、入門・初心者向けの単語帳でも、十分コロケーションを学べますし、逆に、入門者向けのもの以外でも単語ストック用として使うことは可能です。
英単語ターゲット1900
向く人 | ・できるだけシンプルな単語帳で効率的に覚えていきたい人 ・英単語がなかなかストックできずに悩んでいる人 |
メリット | ・一語一義である ・基本的な例文もついているのでコロケーションも学べる ・100語づつ区切られていて復習がしやすい |
デメリット | ・多義語については別にフォローすることが必要 |
初心者向けの単語帳としては、最もオーソドックスなものの一つです。
非常にシンプルで効率重視です。一語一義であり、しかも基本的で良質な例文が掲載されているため、コロケーションとともに学べます。
また100語づつセクションが区切られていますので、これを目安に繰り返し復習するとよいでしょう。
単語学習は無味乾燥であり、また忘れやすいところがります。
ですので、初心者は、先ずはこの参考書だけを徹底的にやってみてください。
これだけでも相当のレベルまで行けるはずです(ただし一語一義のため、多義語については別途フォローすること)。
また、単語力に自信のない人、暗記に悩んでいる人にも有用と思われます。
読解等で英単語も勉強しているけど、なかなか頭にストックされない、という人は是非手に取ってほしいと思います。
音声DL可。
DUO 3.0
向く人 | ・初心者を除く万人向け(社会人を含む) |
メリット | ・派生語や関連語等も収録されており網羅性に優れている(辞書的にも使える) ・各例文が一連のストーリーになっていて暗記しやすい ・大学受験に限らず社会人等のやり直し学習にも向いている |
デメリット | ・情報が詰め込まれ過ぎていて初心者向けではない&文法知識は必須! ・細かくゴチャゴチャしていて見づらい |
非常に有名な単語帳で、大学受験生以外の社会人の利用も多いです。
英単語1600語と熟語1000語からできています。
一見少なそうですが、派生語や関連語、さらに反対語等も広く収録しており網羅性という点とても優れています(これらすべて含めると総数7000語以上。 辞書的にも使えます)。
最大の特徴は、560の例文が掲載されており、しかもそれが一連のストーリーになっていること。
これによって単語の暗記がスムーズにいきます。
特にCDを活用して覚えていくとさらに効果的で、リスニングやスピーキングの勉強にもつながります。
学習者のレベルからすると、TOEICでいえば700点以上、英検では準1級レベルが目標、といったところでしょうか。
英文法等の基礎力がしっかりしていないと、先の例文を含め使いこなせません。
また、全体的に非常に多くの情報が詰め込まれており、初心者をはじめ英語が得意でない人にはあまりお勧めできません。
消化不良を起こしてしまいます(しかも結構ごちゃごちゃして見づらいです)。
ですので、これで英単語を覚えるのなら、先ずは太字(青字)の部分に絞って暗記していくことをお勧めします(この部分を例文を参照しながら繰り返すのです)。
CD別売り。
システム英単語
向く人 | ・大学受験に向けて効率よく英単語を覚えたい人 ・レベルに応じた単語学習をしたい人 |
メリット | ・入試に頻出の単語が網羅されている一方、無駄がなく、基礎から難関校まで対応可 ・多義語がまとめられており、整理用にも使える ・必要最低限の例文も掲載されている |
デメリット | ・レベルの高いものが含まれており、初心者は消化不良を起こしやすい |
大学受験で非常に威力を発揮する単語帳です。
特に単語の選定が的確です。
単語が難易度ごとに分けられいるので、とても効率的に暗記できます(単語レベルを踏まえた学習ができる)。
特に初学者や単語が苦手な人は、最初から全部を覚えようとするのではなく、とりあえず2章まで(余裕があれば3章まで)にとどめ、繰り返しに重点を置くことをお勧めします。
この参考書のもう一つの良い点は、後ろの章で多義語がまとめて整理されている点です(この多義語のセクションは非常に重要なので、後でよいので必ずマスターしたいところ)。
また、必要最低限の文(ミニマルフレーズ)もついていますので、これを活用しながら覚えることもできます(コロケーションを学べます)。
音声DL可(有料と無料とがあり)CD別売り。
速読英単語 必修編
向く人 | ・読解の中で使える英単語を習得したい人 |
メリット | ・実際の文章の中で覚えることができる ・リーディングの練習も同時にできる |
デメリット | ・英文のレベルは決して低くはなく、本格的な入試問題レベルである ・初心者からすると情報量が多すぎる |
単語帳というよりも、むしろ単語学習も兼ねた読解用の参考書です。
比較的短めの文章(約200語)の読解を通じて、その中にでてくる単語も併せて学習していきます(要するに典型的なリーディング学習です)。
もっとも、英文は結構本格的で、読みこなすにはしっかりとした読解基礎力が前提となります(注:巻末に英文の解説があります)。
素晴らしい出来なのですが、リーディング初心者にはキツイかもしれません。
また、英単語帳として使うこともできるのですが、初心者には情報が盛り込まれ過ぎている感があります。
したがって、この参考書をストック用として使うときは、先ずは文章の中にでてきた単語を優先的に覚えていき、それ以外の単語は後回しにした方がよさそうです。
ただ、逆を言えば、その豊富な情報量を生かして、派生語や類義語の整理をしたり、辞書的に活用したりすることもできます。
なお2022年3月第7版増補版にてようやく音声DLができるとのこと。
鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁
向く人 | ・網羅的に知識をインプットしたい人 ・詳しい解説を通じて理屈重視で幅広く学びたい人 |
メリット | ・質、量、ともに非常に充実しており、難関校レベルまで対応できる ・イラストが豊富で解説が丁寧 |
デメリット | ・レベルもさることながら、分量が多く挫折しやすい(初心者には情報過多である) ・非常によくできているが、万人向けではない |
東大をはじめとする難関校対策向けの単語帳です。
一語一語の解説が丁寧になされており、その語源までしっかり解説されています。理解(理屈)を伴った暗記ができるように工夫されているといえましょう(しかもイラストがふんだんに使われており、イメージを通じて覚えられます)。
また、派生語や語法、さらには熟語まで広く掲載されており、情報量の点でも充実しています。
ただし、そのボリュームから情報過多の印象は拭えませんので、正直、初学者には勧められません。
理屈重視で様々な情報をどんどん頭にインプットできれば良いのですが、そうでなければ平均的な受験生でも消化不良を起こすおそれがあります。
ですので、特に初学者は、先ずは基本的な英単語を一語一義で一通り学習してから取り組まれるとよいでしょう(要するに本書は上級者向けということ)。
CD別売り。
夢をかなえる英単語 新ユメタン
向く人 | ・英語が苦手な人全般 ・とにかく英単語が覚えられなくて困っている人 |
メリット | ・1000語に絞られており、しかも繰り返し学習できるように工夫されている ・基本的なフレーズもついているのでコロケーションも学べる |
デメリット | ・これだけでは大学受験に足りない |
初心者向けというより、(単語を含め)英語が苦手、或いは英語が嫌い、という人に向いているといえます。
とにかく学習スタイルがユニークで、1週間かけて同じ単語を、違うアプローチで習得していきます。
1週間同じ単語に(別の角度から)接しますので、記憶の定着がスムーズに進みます(基本的なフレーズもついているのでコロケーションも学習可能)。
また欲張らず、1000語に絞り込んでいる点も評価できます。
もっとも、これだけでは一般的な大学受験には不安要素は残りますので、さらなる語彙力増強は必要です。
CD付き。
速読英単語2上級編
向く人 | ・上級レベルの英単語を、本格的な読解を通じて学びたい人 ・英語(特に読解)が得意な人 |
メリット | ・上級レベルの英単語を実際の英文の中で学べる ・難関校向けの単語及び読解対策ができる ・知らない単語についての推測法を学べる |
デメリット | ・単語、英文共にレベルが高く「必修編」の続きとはいかない |
「速読英単語 必修編」の上級版です。
形式は「速単必修編」と同じですが、英単語も英文もレベルは格段に上がります。
特に英文レベルは、難関校を中心とする本格的な入試問題です。
巻末に解説はありますが、これだけで「必修編」からつなげるのは難しいと思います。
ズバリ、英語が得意な人向けといえます(偏差値で言えば、62~65は欲しい)。
ユニークなのは、知らない単語の推測法について解説していること。
例えば、言い換えや対比等を通じて知らない単語の意味を推測していくのです。
この推測法については、最初にまとめて紹介されていますが、各英文でもその手法が応用されています。
実は、この手法は長文読解における論旨の流れを掴むカギでもあり、総合的なリーディングの練習にもつながります。
話題別英単語リンガメタリカ
向く人 | ・テーマ別・分野別の英文を通じて単語や背景知識を学びたい人 |
メリット | ・各テーマ・分野の背景知識を英語とともに学べる ・ハイレベルの英文の読解を通じて単語を学べる ・各テーマに関係する専門用語や(作文用の)英文をインプットできる |
デメリット | ・各分野に沿った内容なため、一般的な英語学習からは離れている ・専門分野と英語の両者が関係するため、学習としては中途半端になるおそれがある |
参考書の作りは
各分野の背景知識→英文にでてくる語句→英文(本文)→関連する専門用語→関連分野の例文と和訳(自由英作文を念頭にしたものと思われる)
となっています。
まとまった文章の中で英単語を学ぼうとする点では、先の「速読英単語」に共通するところがあるといえます。
ところが、内容面や学習効果という点では全く異なるので注意が必要です。
一般的な英語学習というよりは、専門分野(経済、環境、医療、IT等)を英語で学ぶという色合いが濃くなっているのです。
とてもよくできており、勉強になるのですが、大学受験という点では(レベルも含め)万人向けとはいかないでしょう。
強いて言えば、私大の<特定の>学部対策向け、のような印象がします。
この本に入る前に、先ずは志望校の過去問や入試傾向を確認すべきといえるでしょう。
英単語帳について最後に一言
英単語帳について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
ご覧いただいたように、今日の英単語帳は複合的なつくりとなっており、様々なニーズに応えられるようにできています。
ですが他方で、それぞれに特徴があり、人によって向き不向きがでてくるのも確かです。
そうした状況では、単語帳を使う目的を明確にしたうえで、ご自分に合ったものを適切に使っていくことが大切になってきます。
とにかく英単語は英語学習のスタートであり、また、常に英語力を左右し続ける基本的要素でもあります。
ですので、英単語帳については、ぜひ間違いのない選定と最大限の活用をしていただきたいと思います。