英作文の参考書には様々なものが出回っています。
どれも優れた参考書なのですが、皆同じではありません。
しかも英作文の勉強自体が難しく、悩みや疑問もでてきます。例えば、
- 英作文の勉強したいけど、どの参考書がいいのか迷ってしまう
- 参考書ってどうやって使うの?
- 選ぶ基準は?
どれももっともな悩みです。
確かに魔法の特効薬のようなものは難しいかもしれません。
仮にあったとしても効き目に個人差がでてしまうでしょう。
ですが、ご安心ください。
正しく勉強すれば確実に英作文は上達していきます。
今回のこの記事では英作文のおすすめ参考書を、使い方・レベルと併せて紹介していきます。
- まちがいのない英作文の参考書の選び方
- 英作文を真に上達させる、効果的な参考書の使い方
- 英作文のおすすめ参考書とそのルート
英作文の参考書の選び方
英作文の参考書は、インプット用(例文暗記用)のものと、アウトプット用(和文英訳用)のものとがあります(注:厳密には、これらとは別に自由英作文用がある)。
しかも各参考書のレベルや特徴は様々です。
そこで、ご自身のインプットの完成度や英作文の実力を見極めたうえで、参考書を選定してみてください。
英語に自信のある方でも、英作文の勉強を本格的にやったことがない人は、インプットの基礎から始めることをお勧めします。
英作文で使う英語と読解で使う英語とは、次元が異なるからです(読解ができるからと言って英語を正確に書けるとは限りません)。
選ぶ際の基準を次に示しておきます。
- 英作文のインプットはできているか(基本英文100~300ほど)
- 参考書の文法等の解説は充実しているか
- 参考書(問題集)の解答例は複数掲載されているか
- 音声教材はついているか(CDの有無やDLの可否)
インプット教材は、できれば文法等の解説が載っているものが望ましいです(英文の日本語訳だけでは、英文をうまく使いこなせなかったりします)。
またアウトプット用の教材は、複数の解答が載っていたり、様々な言い回し(表現)が掲載されているものをお勧めします(自分の書いた英文をチェックしていくためです)。
さらに、CD等の音声教材の有無も確認しておきます(例文や模範解答の暗唱に役立ちます)。
英作文の参考書の使い方
参考書の使い方にも、インプット(例文暗記)とアウトプット(自力で書く演習)があります。
このうちインプットでは、先ず英作文の下地となる英文をストックしていきます。
インプット用の参考書の例文を暗唱していくのです(100から多くても300も覚えればOKです)。
またアウトプットでは、そのストックした英文を活用しながら自力で実際に英文を書いていきます。
そこでは、先ずは自分で考え試行錯誤してみること、そして参考書(問題集)を何度も繰り返してみることが大切です。
練習を繰り返すことを通じて、英語の発想に基づく思考ができるようになり、適切な英文が自然と浮かぶようになるからです。
さらに、ある程度慣れてきたら、第三者による添削を受けてみてください。
なかなか自分では自身の改善点を把握することが難しいからです(注:添削を受けられない人でも、先の試行錯誤を繰り返すことで6割の出来には届くようになります)。
以上を踏まえ、英作文の勉強のポイントを整理しておきます。
- 1冊の参考書をしっかり繰り返すこと
- インプットの段階から文法事項をしっかり意識すること
- 演習では、いわゆる和文和訳の上、自分の知っているやさしい英文を借用・応用をしてみること
- 添削を有効活用すること
英作文のおすすめ参考書
おすすめ参考書一覧<用途・レベル>
先ずは英作文のおすすめ参考書を列挙しておきます。
用途<使い方> | 参考書 | レベル |
---|---|---|
インプット・アウトプット兼用 | ・ 英作文ハイパートレーニング 和文英訳編 | 初心者向け |
インプット用 | ・ドランゴンイングリッシュ基本英文100 ・英作文基本300選 ・例解 和文英訳教法(文法矯正編) | 中級者 偏差値55~ |
アウトプット用 | ・新ユメサク ・必修編 英作文のトレーニング ・竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本 | インプット修了者 「竹岡」は偏差値60~ |
自由英作文対策用 | ・英作文ハイパートレーニング 自由英作文編 | 自由英作文初心者向け |
英作文ハイパートレーニング 和文英訳編
レベル | 易 |
メリット | ・英語が苦手な人でも取り組みやすい ・文法の確認をしながら、英作文の基礎を学べる ・基本的ながらアウトプットの練習もできる(巻末には本格的な入試問題もあり) |
デメリット | ・難関校対策としては足りない |
最もわかりやすくベーシックなインプット教材(英作文入門書)です。
英文法の確認をしながら、英作文の基本を学んでいきます。
中学レベルからスタートできるので、英語が苦手という方も取り組みやすいと思います。
基本的ではありますが、決して侮れません。
基本とは奥深いものだと思い知らされます(いざ書こうと思うとなかなか書けません)。
また、この参考書は基本的なアウトプットもできるように作られています(例題の他に復習問題、さらには、巻末に少数ながら本格的な入試問題も掲載されています)。
ただし、深く考えさせる問題は少なめです。
ですから、難関校を志望される人は、さらに高いレベルの問題集で演習することが必要です。
CD付き。
ドラゴン・イングリッシュ基本英文100
レベル | 普 |
メリット | ・英文数が100文に限定されている ・一文ごとの解説が充実している(特に時制と論理) |
デメリット | ・これで全ての英語表現をカバーしているわけではない ・レベルは初心者向けではないので文法の基礎はマスターしておくこと |
インプット教材としては、先の「英作文ハイパートレーニング」と並ぶ定番です(注:レベルは「英作文ハイパートレーニング」より高め)。
英文数が100文に限定されていますが、その分、解説が非常に充実しています。
特に時制と論理に重点が置かれており、英語による思考を学べます。
また必要最低限の表現もそれなりに載っていますので、結構、広範囲に応用できます。
もっとも、これで完璧というわけではなく、演習等を通じて具体的な英語表現を増やしていく必要があります。
なお、後述する「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」は同じ著者であり、アウトプットはこちらでやると接続しやすく効果的です(一部英文に重複あり)。
CD付き。
英作文基本300選
レベル | 普 |
メリット | ・日本語を介して英語表現の発想を学べる |
デメリット | ・人によっては300文の暗記はキツイかもしれない |
典型的なインプット用教材です。
文法と語句の解説はコンパクトにまとまっています。
特徴は日本語の訳の方で、英語的発想を反映した訳(直訳調の和訳)になっていることです。
単なる英文暗記と異なり、英語表現とその発想を日本語を介して習得していけます。
つまり、日本語から英語への変換のコツを学びたいという人に向いているといえます。
ただし、暗唱する英文数が300と比較的多めです。
基礎はできているが暗記は苦手という人には、先の「ドラゴン・イングリッシュ」をお勧めします。
CD付き。
新ユメサク
レベル | 普 |
メリット | ・和文和訳により英語表現の発想を学べる |
デメリット | ・取り掛かる前に、しっかりとした英文のインプットが必要 |
和文和訳を添えているところが特徴で、先の「英作文基本300選」と同様、日本語を介して英語表現の発想に近づこうと試みています。
つまり和文和訳(英借文をするためのお膳立て)の訓練をするのです(しかも英語の例文は2つ用意されています。)
まさに和文英訳の練習(日本語を英語に直す訓練)をしたい人に向いているといえます。
ただ初学者がいきなりこれを演習書として使うのはハードルが高い気がします。
先ずは、別の基本的な参考書で例文のインプットを済ませ、その上で、この和文和訳の訓練をしてみましょう(特に先の「英作文基本300選」とは相性が良いと思います)。
CD付き。
例解 和文英訳教本(文法矯正編)
レベル | 普 |
メリット | ・解説が詳しい ・文法の視点から英作文を学べる |
デメリット | ・分量が多く時間がかかる(情報過多の印象もある) |
英作文の参考書ですが、英作文を念頭に置いた文法の解説が充実してます。
解説は詳しい一方、分量が多めです。
したがって学習時間を十分にとれる人が、じっくり取り組んでみるのに適しています。
社会人のための英語のやり直し学習にも定評があります。
ただし、全体的に情報過多の感じもするので、時間が無い人が中途半端にやっても効果は殆どないと思います。
ですので、もっと内容を絞り込んでやりたい人は、先の「ハイパートレーニング」もしくは「 ドラゴン・イングリッシュ 」をお勧めします。
竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本
レベル | 普~難 |
メリット | ・演習量が豊富でレベルも高く、難関校対策としても使える ・解説が詳しく、様々な英語表現が紹介されている(解答も複数あり) ・ダメな英訳例も載っており参考になる ・独習者にも十分応えられるつくりとなっている |
デメリット | ・問題のレベルが高く、英文法や英作文の基礎ができていないと効果は薄い ・分量が多く、繰り返しも含めると時間が相当かかる |
先ほどの「ドラゴン・イングリッシュ基本英文100」と同じ著者です。
演習が中心ですが、その解説の充実ぶりは群を抜いているといえましょう(まさに鬼の力作)。
一つの演習問題に対し、複数の解答や英語表現が豊富に紹介されています(これだけ多くの表現を紹介している参考書は他にないのではないかと思います)。
また「こう書いたらアウト」という(ダメな)英訳例も挙げられており、とても参考になります。
要するに、英作文独学者が、自分で演習を完結できるつくりになっています(ただしそのための基礎ができていることが前提です)。
相当難易度の高いものも含まれており、これを使って徹底的にアウトプットを繰り返せば、独学でも十分英作文の実力を身につけられるでしょう。
難関校対策はもちろんですが、将来的にも役立つと思われます。
CD付き。
必修編 英作文のトレーニング
レベル | 普~やや難 |
メリット | ・解説が答案添削を巡る対話形式となっていて、わかりやすい |
デメリット | ・初心者向けではない |
例題が100題掲載されています。
答案添削を巡る対話形式を通じて、丁寧な解説がされています。
添削のZ会ならではといえましょう。
また、文法事項や語句内容まで確認できるようになっており、独学用の英作文演習書としては、完成度は相当高いと感じました。
社会人のやり直し学習としても広く活用されているようです。
英語のインプットは一通り済ませたが、どうも基礎知識をうまく活用できていない、という人にもお勧めしたいです。
音声DL可。
英作文ハイパートレーニング 自由英作文編
レベル | 普 |
メリット | ・解説が丁寧 ・コンパクトながら、自由英作文の指南書としては必要十分 |
デメリット | ・和文英訳の解説書ではない |
自由英作文の定番中の定番です。
参考書の具体的な内容としては、①構成を中心に基本的な書き方、②問題演習、③要約問題の取り組み方(難関大対策)、④手紙・Eメール問題への対策、からできています。
特に③要約問題が充実しているのが特徴です(類書ではあまり見られません)。
全体的にコンパクトで分量を感じさせませんが、中身は濃く、これで自由英作文の対策は十分ではないかと思います(というより、一般の受験生にとっては、時間の制約からしても殆どこれ一択と言ってよい)。
いずれにしても、基本的な構成から演習まで、自由英作文をこの一冊で一通り学ぶことができます。
あとは適宜、過去問等を中心に量をこなしていけばよいでしょう。
ただし和文英訳の解説書ではないので、これについては他の演習書等で十分勉強しておくことが必要です。
英作文の参考書ルート
ここでは、以上の参考書を用いた効果的な学習ルートを紹介していきます。
和文英訳は、基本的にはインプット1冊、アウトプット1冊でよいかと思います。
自由英作文の勉強(英作文ハイパートレーニング自由英作文)については、和文英訳の勉強が一通り完成した段階で適宜加えてみてください。
英作文ハイパートレーニング和文英訳編→必修編英作文のトレーニング
英作文初心者や英作文に苦手意識がある人を想定したルートです。
特に英作文に苦手意識のある人は、前者の英作文ハイパートレーニングを徹底的に仕上げてください。
一見物足らないように感じるかもしれませんが、決して背伸びする必要はありません。
難関校以外はこれで十分通用するはずです。
多くの受験生が、先に進むことばかりにとらわれ、結局このレベルすら満足にマスターすることなく試験本番を迎えます(参考書を仕上げたというカタチではなく、基本を完璧にしたという中身が全てです)。
英作文基本英文300選(又はドラゴンイングリッシュ基本英文100)→新ユメサク
文法をマスターし、かつ英文暗記がそれほど苦手でない人を想定しています。
このルートでは、日本語表現と英語表現のつながりや違いを意識した勉強をしていきます。
特にアウトプット(新ユメサク)では和文和訳と英借文の練習に重点を置いています。
なおインプットで300の英文が多いという人は「ドラゴンイングリッシュ基本英文100」でもよいかと思います。
ドラゴンイングリッシュ基本英文100→竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本
竹岡先生の著作を基本としています。
同じ著者ですのでインプットとアウトプットの接続がしやすいです(一部英文の重複あり)。
後者の「面白いほど書ける本」は、ボリュームがあり、かつレベルも高めなので、難関校対策向きのルートといえます。
例解 和文英訳教本(文法矯正編)→アウトプット用参考書どれか一冊
英文法の勉強も兼ねてじっくり取り組みたい人向けです(サクッと英文暗記をしたい人は上の3つのルートをお勧めします)。
「例解 和文英訳教本(文法矯正編)」のシリーズには、「例解 和文英訳教本(公式運用編)」や「例解 和文英訳教本(長文編)」があります(ほかに自由英作文用のものもある)。
もちろんこれらを利用してもよいのですが、特に後者の「長文編」は上級者向けとなりますし、全部合わせると相当の分量になります。
ですので標準的な受験生は、他の参考書で演習した方が効率的かもしれません。
最後に
英作文の参考書を中心に解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
英作文の参考書には、主としてインプット用とアウトプット用がありますが、同じ用途でも特徴やレベルは様々です。
そういった状況下では、やはり、自分に合った参考書を選ぶとともに、適切にそれらを活用することが肝要です。
確かに英作文は、他の英語の学習分野と異なり、なかなか成果を出しづらく、難しい側面が多々あります。
ですが、こうした参考書を正しく活用することで、英作文は必ず上達していけるはずです。