「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」は、英作文の指導で有名な竹岡広信先生の著書です。
先生ご自身の指導経験やノウハウ等が詰まった名著なのですが、その志は高く非常に崇高なつくりとなっています。
当然ながら、単に買って読めば英作文がスラスラ書ける、というものではありません。
学習者にはそれなりに試練を与えたり要求したりするのです(愛の鞭もあったりして?)。
でも適切に取り組めば、決して乗り越えられないものではないですし、
それどころか、大学受験を超える一生の宝物が得られるはずです。
そこでこの記事では、「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」の使い方・レベル・特徴を徹底解説していきます。
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」のレベル
この参考書のレベルは、英作文の参考書の中でも(演習問題を含め)最高峰にあたります。
もっとも、難しい問題ばかりというわけではなく、
標準問題も掲載されているうえ、英作文の基礎事項についても十分網羅しています(ただしその分、相当のボリュームがある)。
したがって、東大・京大(特に京大)対策はもちろん、英作文を出題するすべての大学入試に対応できるつくりとなっています。
また、自由英作文の課題はないものの、そのための準備もこれでOKです(注:自由英作文対策では、英作文そのものを訓練するのではない)
要するに、すべてのレベルを対象とした参考書と言えます。
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」の目標
英作文というのは本当に難しいものです。
英作文の勉強をしないまま自分で書こうとしても殆ど点数はつきません。
やさしそうに見える英文ですら、いざ自分で書こうとすると、メチャクチャなものになってしまいます。
では、本書で勉強したとして、どのくらいまで到達するかというと(個人差ありますが)
大雑把に言って、
東大・京大や駿台公開模試の英作文問題で6割以上、標準的な国立大学の問題で7~8割、
といったところでしょうか。
具体的には、
不自然な表現や小さなミスはあるものの、文法や構文上の大きな間違いはなく、なんとか(問題文の)日本語の内容を伝えることができる、といったレベルです。
つまり、大部分の入試の合格ラインには届くということです(点数を1点、2点と拾ってくる出来から、減点法で採点できるレベルになってきます)。
さらに付け加えると、
実は第三者からの添削が本当に意味を持ってくるのはここからです。
ここまで到達していないと、添削を受けても自分の書いた英文など(添削後は)跡形もなくなってしまい、添削の意味が殆どなくなってしまうからです(添削の対象が消えてしまうということ)。
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」の構成と特徴
構成は次の通り。
- 典型的な英語表現を60のテーマに分け、集中かつ体系的に勉強できるようになっている
- 各テーマごとに、「原則」(2~3の例文で解説)・例題・演習問題(応用問題)2題から成っている
- 音声教材(CD)付き
注:演習問題(応用問題)は例題のすぐ後ではなく、所々にまとめて掲載されています。
また本書ではとても詳しく解説がされていますが、その特徴は次の通りです。
- 例題、演習問題ともに複数の解答例を用意している
- 英文は解答例も含めてネイティブのチェックを経ている
- 受験生の誤った例(受験生の陥りやすい点)が紹介されている
- 各テーマごとに「頻出表現」があり、英作文表現の幅を広げることができる
つまり誤った解答例とともに、複数の模範解答・多くの表現例が紹介されており、独学できるように工夫されています。
なお、本書は和文和訳や英借文といったものを前面にだしてはいませんが、
学習の過程で無意識のうちに会得していけると思います(例えば「年功序列」をどう英語表現するか、など。本書の後半にでてきます)。
インプットした例文を応用していく練習が、英借文などの思考そのものですから。
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」に向く人
難しめの英作文を出題する京都大学をはじめ、すべての大学受験生に向いていると言えます。
また大学受験生のみならず、英文を自分で書けるようになりたい社会人の方にも大いにお勧めできます。
英作文の基礎をマスターするには、結局、一度は本書のような参考書で徹底的に勉強する必要があるからです。
ただし、最低限の英語の基礎は必要で、英文法や英単語の基礎知識は前提となります。
なお、欲を言えば、本書に取り組む前に基本的な英文を100~200ほどインプットしておくとよいでしょう(たとえば同じ竹岡先生が著書の「ドラゴンイングリッシュ」や「大学入試英作文ハイパートレーニング和文英訳編(大矢 復著)」などを使うとよい)。
「ドラゴンイングリッシュ」について(参考):
本書が英作文の練習の場であるのに対して、「ドラゴンイングリッシュ」は、インプット用の英文集です(100文収録しています。なお一部の英文に本書と重複あり)。
内容的には、ただの例文集ではなく、時制や論理を中心に、英作文向けの文法解説がなされています。
つまり文法を英作文で使えるようにしている参考書と言えるでしょう。
もちろん英語表現数としては、限られたものになりますが、英作文の思考づくりは「ドラゴン」で十分です。
あとは本書などで練習する一方、自分の英語表現の幅を広げていけばよいでしょう。
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」使い方と注意点
勉強の基本的な進め方
各テーマごとに
原則→例題→演習問題(応用問題)
の順に進めていくとよいでしょう(注:演習問題はまとめて掲載されているので、適宜まとめて解いてもよい)。
次にもう少し具体的に示してみます。
各テーマごとに2~4つほど例文が示されています。
まだ英文のインプットをしていない人は、これらの英文をインプットしていくことをお勧めします(どちらにしても2~300の英文ストックは必要になってくる)。
その際は、付属の音声教材(CD)を活用して耳と口で覚えていきましょう(例題等も同じ)。
ここが英作文の練習の中心です。
先ずは、とにかく自分で考えて、手を動かし英文を書いてみること(すぐ答えを見て丸暗記する勉強は全く意味がありません!)。
様々な表現例とともに、2つの模範解答例が掲載されているので、自分の書いた英文をチェックしてみてください。
特に注意したいのが、間違ったサンプル例「こう書いたらアウト!」です。
基本的に例題の取り組み方と同じですが、例題の応用編となります。
例題での学習した事項をここで応用していきます(模範解答例も2~3つ用意されています)。
おそらく、例題、演習問題、ともに1周目は殆どできないと思いますが、全く心配いりません。
できなくて構わないのですが、ぜひ最低3周は繰り返してみてください。
この繰り返し(自分で何度も考えて書いてみること)が英作文の土台作りにつながります。
なお、本書は情報量が非常に多いですが、すべての表現を覚える必要はありません(全て覚えようとすると、どれも中途半端となってしまい、いつまで経っても使いこなせる様になりません)。
むしろ、(模範解答例も含め)自分が使いやすいものを一つに絞って、完全に自分の言葉(言い回しに)していくことが上達のコツです。
ただし、例題の解説にある「頻出表現」は出題頻度の高い表現なので、これはインプットしていくことをお勧めします。
英作文では表現の知識量も大切です。
自分の書いた英文が模範解答例と違ったらどうしたらよいか?~英作文学習の最大の注意点~
どんなに解答例が豊富でも、自分の書いた英文と模範解答例が完全に一致することはあまりないでしょう。
その際、初心者等に湧いてくる疑問が「自分の書いた英文じゃダメなのか」というもの。
これに対する答えは実にシンプル。
「ハイ、ダメです」
まず99%そうなります。
もし(自分の書いた英文が模範解答と違っていても)実質、正解に近いのであれば(点数で60点以上)、こんな疑問は湧いてこないものです。
そこで、こんな疑問が湧いてくるのであれば、自分の書いた英文は忘れて、模範解答をそのまま覚えていきます。
他方で、
それなら演習などせず、ただインプットだけしていけばよいのでは
との声も出てくるでしょう。
ですが、それは違います。
演習を通じて自分の持っている知識を総動員しながら(悪戦苦闘しながら)考え抜くことに演習の意味があるのです。
本書の例題や演習題を通じて3周ほどしていくうちに、然るべき英文というのが自然と書けるようになってきます。
それは単なるインプットした英文を吐き出すこととは全く次元が異なります。
こうして先ほど申し上げた60%ライン(大部分の国立大学の合格ライン)を超えるようになるのです。
ちなみに(繰り返しになりますが)添削を受ける意味が本当にでてくるのは、このラインに到達してからです。
最後に
「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」の使い方・レベル・特徴などを解説してきました。
この記事をご覧になってくださった方は、難関校を目指している人が多く、志も高いものと推察します。
本書はそうした学習者の期待にしっかり応えてくれるものなので、ぜひ何度も繰り返してみてください。
最初は大変ですが、目覚ましいほどの進歩前進を実感できるでしょう。
最後になりましたが、
受験生につきましては合格をお祈りしています。
次は皆さんが「竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本」のレビュー記事を書く番です!